それでも私が初代PS3に拘るたったひとつの理由
- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2006/11/11
- メディア: Video Game
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そんな僕にとって、PS3は気にはなるものの、最優先事項で購入すべきハードウェアではありませんでした。僕が今後もPS3に求める機能、それはPS/PS2互換です。PS3は最初期の20Gモデル・60Gモデルのみに互換機能を搭載し、それ以降のモデルでは廃止されています。当然最初期モデルはとっくに生産終了しています。廃止されて以降もPS3は売上を徐々に増やしてきましたが、この機能の復活を切望している一部ユーザー*1がいることも事実です。
古いゲームを新しいHDテレビで遊ぶ時の問題
さて、HaloシリーズはすべてXbox 360でプレイできるのですが、エースコンバットシリーズは、最新作のAC6がXbox360から出ていて、それ以外はPSとPS2*2から出ています。現状、過去のACシリーズをプレイする時は、Sビデオ端子をフルHDのテレビにつないでプレイしています。
ここで問題になるのは、アップコンと呼ばれる技術のことです。既にご存知の方も多いと思いますが、現在市場に出回っているテレビは、ほとんどハイビジョンテレビです。解像度はまちまちですが、我が家のテレビは、1920×1080ピクセルという画素数を持っています。対して、PS/PS2の出力する解像度は640×480ピクセルです。当然、画質の荒いものを拡大するので、そのアラがどうしても目立ってしまいます。
テレビ側にまかせるか、ゲーム機側にやらせるべきか
アップコンとは正しくはアップコンバート*3と言い、拡大することで目立ってしまうアラを目立たなくする技術のことです。もともとの映像ソースを高解像度にすることはできないため、あくまで補助的な技術です。最近発売されているテレビには全て搭載されています。
地上波がいくらハイビジョンになっても、過去の映像ソースや、機材や予算の関係でSD*4で放送せざるを得ないケースは今もたくさんあります。この場合、放送局側がアップコンして放送することもありますが、その性能が劣っていたり、アップコンしなかった場合などはひどく荒れた画像になってしまいます。「地デジなのに、ハイビジョンのテレビなのに汚い」そういうクレームが地デジ黎明期には多かったそうです。
そこでテレビメーカーは、SDソースの映像を綺麗に見せる技術開発に取り組み切磋琢磨してきましたが、この2年ほどでその技術も確立されてきたようです。実はHDテレビの絵作りのメーカー差というのは、SD素材のアップコンに注ぎ込まれていると言っても過言ではないでしょう。
ということは、僕が現在遊んでいるPS2も、テレビ側がアップコンしてくれている、ということになります。
やはり餅は餅屋
PS3からPS/PS2互換機能がオミットされた時によく言われたのは、「PS/PS2のゲームをやりたいなら、PS2でやればいい。今PS2持っている人は追加投資いらないし、持ってなかったとしても価格も安くなってるんだし」というものです。
当然、PS2自体にはアップコン機能がありません。ところが、初代PS3は単純に互換動作しているわけではありません。当然SDソースであるPS/PS2ゲームをHDテレビでも綺麗に見せるよう、PS3独自のアップコン技術が搭載されています。
現在Sビデオ端子につないでプレイしていて思うのは「まあ、たしかにそのままSDからHDに引き伸ばしたよりはマシだろうけど、せいぜいこの程度か」というのが率直な感想です。*5テレビメーカーにしろ、PS3を開発したSONYにしろ、アップコン技術には多大なる努力を払っていると思います。
ただ、Sビデオ端子は必ずしもPS2などのSDゲームをつなぐポートではない、ということです。例えば古いVHSに録りためた実写、アニメなどの映像ソースが入力される可能性もあるわけです。これは単なる憶測ですが、入力ソースの素性が変わってくると、やはりどうしても実写、アニメ、ゲームのどれにもそれなりに対応できるような、最大公約数的補正技術になるんじゃないでしょうか。
そうなってくると、テレビのアップコンに任せるのではなく、初代PS3のアップコン機能に期待したくなるわけです。
こちらのブログ記事では、初代PS3アップコンによる画質比較を行っています。興味深いのは、PS2とPSのソフトで比較していますが、PSソフトのほうがよりはっきり補正効果が現れているということです。
PSとPS2は出力する解像度は同じですが、当然PS2のほうが処理できるポリゴンの数が圧倒的に多いです。ということは、ゲームソースによって補正技術を使い分けていることになります。さらには、ポリゴンを3Dレンダリングする時点で補正をかけている可能性もありえます。
これは、レンダリングされた後の2Dの映像ソースとしてしかアップコンできないテレビには真似のできない芸当です。そもそも、テレビ側にはPSのゲームなのか、PS2のゲームなのか、ということすら判別がついていないのです。
実際にPS2と初代PS3を自宅で比較したわけではないのですが、こうした客観的事実を観察、比較した結果、PS/PS2のゲームをHDテレビでプレイするには、テレビにPS2をつなぎ、テレビにアップコンさせるよりも、初代PS3でプレイしたほうがより良好な結果が得られるのではないか、という結論に達しました。
技術が進むにつれて切り捨てないといけないものもある。しかし
僕は10年以上前からのMacユーザーなのですが、MacにUSB端子が登場する前、それに相当するポートは、シリアルポート、ADBポート、*6SCSIポートなどがありました。接続すると再起動しなければいけないデバイスも多く面倒な規格でした。ところがiMacがセンセーショナルに登場した時、それらのポートはすべて廃止され、USB一本に統一されてしまいました。既存の周辺機器メーカーは対応に追われ、USBと各ポートを変換するアダプタが次々と製品化されました。
時は流れ、そういう時代の徒花のような製品はUSB対応機器の充実とともに姿を消しました。
今のPS/PS2/PS3のゲームにも似たような状況が取り巻いているように思えますが、ちょっと事情は違うと思います。周辺機器をつなぐ規格なんてものは時代とともに淘汰されていってもいいと思うのですが、ゲームは簡単に切り捨てられてほしくないのです。
特にシリーズもののゲームは作を重ねても、ユーザー各々のお気に入りというのはマチマチなわけです。新しい作品のほうが常におもしろいとは限らない。現状、PS2も併売されていて、HDテレビにつなげば、多少汚いもののゲームをプレイすることができます。しかし、いずれPS2も先に生産終了するでしょうし、何よりもお気に入りのゲームは少しでも綺麗な状態でいつまでもプレイできる環境であってほしいものです。ゲームにも芸術性のある創作物であるのだとすれば、SCSIやADBのように簡単に忘れ去られるような状況にだけはなってほしくないと願っています。
あ、そうそう
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