地域通貨的視点から見て

まあ別に僕は経済学に詳しいわけではないので、部屋にあまたとあるマガジンラックの中から、例の博報堂「広告」誌を探して来たのでした。2002年1月号。
ざっと読み直したところ、やはり特定地域の中で循環することが地域通貨の前提みたいに書いてある。おもしろいのは、地域通貨の価値が単純に「円」と違うとどうなるか、という点。


アースデイマネー*1を働きのよい従業員へのボーナスとして支給するケースも十分想定できる。(中略)
ところで、ボーナスといえども給与所得の一部であるから、これは所得税の課税対象となる。例えば、ある従業員に対して、その働きのよさゆえに1,000r*2アースデイマネーをボーナスとして支払うこととした場合、仮にこの従業員の年収が400万円であれば所得税率が20%であるから、1,000rに対しても20%の額が課税されることになる。税金をアースデイマネーで支払うことはできないから、この場合200円の所得税を納税することが必要となる。
税金を払うのは億劫と思われるかもしれない。しかし、見方を変えると、税金を払う価値すらあるかもしれないことに気づく。
すなわち、上に挙げた例を従業員の側から見ると、このことは、1,000r受け取って200円支払う、あるいは、200円払って1,000rを受け取る、ということでもある。つまり、200円と1,000rとを天秤にかけて、従業員が1,000rの方が価値が高いと判断すれば、企業と従業員双方にとってハッピーな事態が生じる。なぜなら、アースデイマンーによるボーナス支払いは、企業・店鋪にとってみれば実に効率のよい従業員への法相手段となるし、従業員の方はといえば、アースデイマネーのたくさんたまるお店で勤めている人だけにしか与えられない特典を獲得することになる。なぜなら、市中では、1,000rは1,000円を出してしか手に入れることはできないのだから。
これは「ボーナスを地域通貨で支払う」という前提があるから成り立つ話なのだが、これをはてなに置き換えてみると、はてなポイントだけで出来ることが他にもあると、似たような意味で、はてなポイントの魅力が高くなるのではないだろうか。もちろん、先日id:indigoworks:20020408で書いたように、はてなポイント←円の一方通行のほうが良いのでは、というのは、他にはてなポイントで出来ることが増えて、より循環しやすい形が形成されてからのことだろう。

*1:引用斜注:以前渋谷で行われていた地域通貨の実験。

*2:引用斜注:アースデイマネーの通貨単位はr(アール)。1rは1円。