鉄オタが非オタの彼女に鉄道世界を軽く紹介するための10路線
まあ、どのくらいの数の鉄オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない鉄道の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、鉄道のことを紹介するために見せるべき10路線を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女に鉄道を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う18切符の旅、特定電車区間大回りの旅は避けたい。できれば首都圏近郊、関西にとどめたい。
あと、いくら鉄道的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。鉄道好きが『明治村の京都市電』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
- 鉄道知識は自分の通勤通学路線的なものを除けば、新幹線や主要幹線は知っている
- サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
京津線+東西線(京阪電鉄、京都市営交通局)
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「地下鉄+山岳専用軌道+市街併用軌道」を濃縮しきっていて、「日本の鉄道の姿」を決定づけているという点では外せないんだよなあ。
ただ、ここで京都市内併用区間廃止前や80形の魅力、800系開発の涙ぐましい努力などオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な路線について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
鶴見線+南部支線(JR東日本)
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうな鉄道路線(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。「鉄オタとしてはこの二つは“路線”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
京急本線(京浜急行電鉄)
ある種の車両運用オタが持ってる神ダイヤへの憧憬と、スジ師の変態的なダイヤへのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも神業的な
の二運用をはじめとして、オタ好きのするダイヤを全路線にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
大阪モノレール線(大阪高速鉄道)
たぶんこれを見た彼女は「東京でいうところの武蔵野線だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
モノレールではなく外環状を描く普通軌道の旅客営業路線が関西ではおおさか東線以外にないこと、しかしそれは関東では至極当たり前なこと、関東なら接続路線から優等列車が乗り入れてさらに別の接続路線に乗り入れたり、それが関西に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、関西でこういう運用や路線がつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
御堂筋線(大阪市営交通局)
「やっぱり鉄道は公共交通のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「山手線」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この路線にかける大阪市の思いが好きだから。
開業当初から10両編成での営業を想定していたという点や、市内への私鉄乗り入れを拒否するいわゆる「市営モンロー主義」が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「大大阪」ということへの夢と現実の乖離がいかにも公営鉄道的だなあと思えてしまうから。一方でこれが営団や都営だったら四つ橋線を造らず、御堂筋線を複々線にして16m級6両とかで営業してしまうだろうとも思う。なのに、不便な位置に四つ橋線造っちゃたり、モンロー主義を翻して北急との相互直通するというなりふり構ってられんないあたりに親近感を禁じ得ない。路線自体の混雑率と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
都電荒川線(東京都交通局)
今の若年層で都内の併用軌道見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
地下鉄よりも前の段階で、都内の公共交通網はこの都電で頂点に達していたとも言えて、併用軌道という一見危険に見える軌道構造がモータリゼーション以前の時代には当たり前だったんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく鉄道好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆるALWAYS3丁目の夕日でしか都電を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。
常磐線+千代田線+小田原線(JR東日本、東京メトロ、小田急電鉄)
鉄道企業の「野心」あるいは「街づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「鉄道は都市という社会空間、もしくは都市間を有機的に接続する神経」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ高度経済成長以降の首都圏では地下鉄と国鉄(JR)・私鉄の相互直通という結果以外ではあり得なかったとも思う。
「都市機能の一部と化した通勤路線を愛でる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源は相互直通運転にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
まあ、他にも相互直通運転を行っている路線はあるわけだが、地下鉄部分の両端でJRと私鉄に接続している、その気になれば仙台から箱根まで直通運転できなくもない、という妙と、この直通運転自体の歴史の長さから選んでみた。
和田岬線(JR西日本)
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。こういう工業地帯の通勤特化路線でしかも鶴見線に比べると遥かに路線長が短いという点が非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
甲陽園線(阪急電鉄)
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に甲陽園線を選んだ。
京阪から始まって阪急で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、ハルヒ以降の聖地巡礼の先駆けとなった路線でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい路線がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10路線目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
これはコピペだお!
ネタ元:http://anond.hatelabo.jp/20080721222220
自作:http://d.hatena.ne.jp/indigoworks/20080725#p2