かたひじ はらない ループ系

曽我部恵一の所属するROSE RECORDSから素敵な1枚。
鉄道マニアとしては、くるり以外にも、鉄道キーワードが冠されたタイトルには果敢に冒険を挑まなければならない、という自己勝手的な使命感から購入してみたが、間違いなく正解の逸品。
先述の「曽我部恵一の所属するROSE RECORDS」という修飾節に決して気負い負けしていないセンスとクオリティがある。
ループ音楽だが、ダンスミュージック的でなくむしろポップス的音作りが好感触。特にオルガンとメロトロンは凝った音作り。鍵盤関係者にはうれしい演出。
僕の場合、ループ系は飽きのくるのが早い傾向にあるのだけれど、これはそんな気が全くしない。1曲目、ディスクタイトルでもある「回送列車が行く」は春にふさわしい柔和で弾むオケが心地良いのだけど、これは絶対毎年この時期に聴きたい、と思わせてくれる。季節感を刻み付けてくれるループ系は初めてだ。
500円という低価格ながら、パッケージングを限りなく簡素に、しかしそのビジュアルセンスは決して粗悪ではなく、もちろん音楽は上質なものを提供している。こんな1枚が昨今の暗い日本の音楽事情の中でもリリースされるということは手放しで喜ばなければならない。