デザイン力

http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20080513/1210715284

ただし、ひとつ面白い現象がある。再びぼくの記事のブッコメより。
2008年05月11日 sukebeningen ただ経験則で言えば、ダサい奴はオタクとしてもレベルが低いよ。(マンガ喫茶で、たいてい赤松健とかCLUMPあたりを読んでる)
どういうわけか、作り手側に回ったオタクはけっこうファッションセンスがいいのだ。それは同人誌即売会でも観測できる。サークルスペースの中で本売ってる兄ちゃん姉ちゃんはけっこう小奇麗で、買ってる連中がダセエという痛ましい光景、しばしば見かける。

ああ、僕が常々思っていることを言い得てくれたようで気持ちいい。
有能な人はセンスがあり、そうでない人はセンスがない。端的に言ってしまうと、こんな感じか(しかし、身も蓋もない言い方ではあるが)。同人誌業界を牽引するだけの能力を持っている人と、そこで消費するしかできない人の違い。
逆に有能であってもヲタヲタしい格好をしていてセンスがないと思われるのはその人の損失だと思う。
センスという言葉は定義が曖昧に思えるけど、僕はこれを単にデザイン力だと思っている。デザインといっても服をデザインするという意味ではないし、雑誌や広告とかのグラフィックデザインという意味ではない。強いて言えば、設計する+演出するということだと思う。ギークな人なら「ユーザーインターフェースアクセシビリティに配慮してデザインする」というような表現に近いと言えば、わかってもらえるだろうか。
別に自分で服を一から作るというのではなくても、服を選ぶという時点で十分デザインすると言っていいし、普段着でプライベートな用事や遊びに行く時は、それが自分の「普段」ですよ、というTPOのひとつだ。遊びに行くのに礼服や喪服で行くやつはいない。*1

外見の査定力は思った以上に大きなウエイトを占めている

人間は社会生活をしている上で、様々な人からお互いに意識的に、あるいは無意識に査定されている。見た目で判断されるっていうのはそういうことだし、それはある程度致し方のないことだとは周知のことだと思う。
そんな中でやはりスマートな見た目、装いをしているほうが一般的に評価が高いというのは、査定の第一段階の大きな目安になっているから。僕だってそういう目線で人を見る。うちの職場はほとんど私服で他の会社の人も頻繁に出入りするので、結構服装でその人のバックグラウンドを想像するのは楽しい。

いつもきれいにアイロンがかけてあって、しわのない服を着ている人
純粋にオシャレが好きな人なんだなー 大抵そういう人は個性的でカッコいいアクセサリーもしていたり、服の点数(スコアって意味じゃないよ!)も多かったりする。でも見た目だけにこだわって、費用(時間)対効果のある仕事できんのかなー、と不安に思ってしまうことも多い(そして実際そういうケースがあった)
色使いに気を使っている人
補色をうまく差し色にしてたりとか、色相や彩度をあわせてる人。こういう人は細かいところに手抜きしてないなー、ひとつひとつの行動に対して意味をもって仕事してくれそうだなー
靴をたくさん持ってる人
靴好きなんだな。どれもお気に入りで長く履きたいんだろうな。効率のいい運用や工夫を知ってそうだな(靴はファッションアイテムの中では痛みやすい部類)
服の(流行という意味での)デザインは悪くないけど着こなしパターンが少なく、着古した服が多い人
ヲタかな? あるいは服そろえるところまではいったけど、運用ができてないのかな? ある程度まではいい仕事としてもっていけるけど、最終工程大丈夫かな

あくまでこれらは見た目からはじき出された推測に過ぎず、ヨレヨレの着古しを着ていてもいい仕事をする人は何人か知っている。しかし僕の現在の職場においては、大体6割ぐらいの確率でこういう判断は当てはまっている*2
上記の例はあくまで僕の査定内容なわけだけど、人それぞれ見るところや思うところは違うと思う。けれども、経済的な理由以外で服装に気を使えてない人たちは、そこまでの想像力が欠如しているんじゃないか。

増田に多いハイファッション蔑視

(まあ、ハイファッションといっても、ヲタファッションから見ての人並みってことで、本来のハイファッションなんかもう形而上学的な宗教にしか見えないんだろうけど。)
なんていうか、感覚的に言うとスイーツ(笑)のノリで「ファンション(笑)」か、もしくは半ば厭世的に、服装に対する時間や手間、コスト高を嘆く発言が多い。
このような蔑視は増田たちの劣等感からくる卑屈の裏返しに過ぎない。たしかに増田たちが言うところの非ヲタリア充から「おまえマジダセーなw」とか嘲笑されることはある、もしくはあったかもしれない。ただ、実際そういうケースは中高生ぐらいなもので、ある程度年を重ねて分別がつくか、あるいは幼くとも良識ある人間は、面と向かってそういうことは言わない。なんならそこへ行き着いてしまう話題する避けてくれるだろう。それでも「それGAPで買ったでしょ」的な発言を「おまえダサい」と異訳してしまう*3増田の思考回路は、自信のなさからくる被害妄想でしかない。
これに対して、どこぞのエントリに対するブクマコメント*4みんなが「服買いに行こうぜ!」ってやっている時期にアニメイト行っているやつが人並みの格好になるわけがない的な内容があって、言い得て然りだなあ、と思った。むしろ、いい年になってもid:asami81みたいな人たちが好意で手助けしてくれることに感謝すべき。
次に、蔑視とまではいかなくとも、増田の中で脱ヲタファッションに否定的な意見のうち多かったのは

  1. どれを着ていいのかわからない
  2. 色の合わせ方がわからない
  3. 服に興味がない

といった感じだったけど、正直「こんな理由がオタクたちの言い訳なのか!」と軽くカルチャーショックだった。もうちょっとオタクってスマートな議論ができるかと思ったけど、正直子供のダダと同レベルかと。
1つ目に関して言えば、ファッションなんて流行廃れのあるものなので、ある程度情報収集をしなければ安全圏の答えは見つからない。でもわからないなら(ググれカス!と言ってもGoogle様はそこまで高度な検索はできないと思うので、)素直に人力検索で質問すればいいんじゃないでしょうか。
2つ目なんかはまさにググれカス!だと思う。色彩検定の参考書読んでもいいんじゃないの?
3つ目はちょっと根深い。興味がないものには興味がない。それは人間の根本だからしょうがない。前述したような査定でのデメリットを甘受するなら、どうぞご自由に。きっと外見でのマイナスを差し引いても魅力に溢れるアビリティをお持ちなんでしょうね。*5

衣食住を並列にして考えてしまう増田の人民服発言

昨今増田がとても重いのと、増田のUIが貧弱なこともあいまって過去記事を探してはいないんだけど、概要を言えば「衣食住の中で、食事と住環境に関しては、最低限の健康を維持するだけの食事をしてればいいし、ホームレスやネットカフェ難民でなけりゃ安アパートでも許されるのに、服だけはものすごく批難される。礼服や喪服のように、普段着としての人民服が欲しい」的な発言があって、まあ、なんとも突出した考えだなぁと思った。
そもそも衣食住という三文字熟語の中に並列して並んでいるからといって同列で比較できるものだとは思えないのだけど、百歩譲って比較してみよう。
まず最低限の食事というが、まあ食品や献立は別としても、食事は決して栄養をとるためだけの行為じゃない。家族や恋人、友人とコミュニケーションをとる機会。恋人と食事しても相手の食べ方がめちゃくちゃ汚かったら幻滅するだろうし、家族が一緒の食事をしなくなって家族の関係が悪くなったといった話はよくある。住環境も安アパート自体は別にいいが、そこが汚部屋だったりゴミ屋敷だったりしたら、客人も呼べない*6。それどころかそんな部屋で寝起きすると良質の睡眠が取れず、健康的によくない。特に住環境には、安くても小奇麗な格好を求められる服装と近いものがあると思う。
TPOを表す服装としては、礼服や仕事着としてのスーツと比較して普段着はそのバリエーションに幅があるというだけ。普段着を着ている時がその人の普段、オフ、プライベートを形容するTPOファッションなので、それを代替する制服としての人民服という発想はなんともお粗末。まさに人民服(笑)

そういえばここの前回エントリにおまいの着こなしを晒せ話はそれからだ的なブックマコメがあった件について

こことは別でFlickrに自作の写真を載せてるんだけど、そこにセルフポートレイトがあるので、参考にしてくだしあ
。別段撮影用の衣装ってわけではなく、まあ普段からわりとこんな格好してますが。

*1:仮にめんどくさいからといってそういう格好でプライベートを過ごすやつがいたとしたら、それは常軌を逸しているとしか言いようがない

*2:的中、という表現を使わないところを汲んでいただければ幸い

*3:これもどっかで見かけたんだけど、ソース失念

*4:ごめん、ソースは忘れた

*5:引きこもりとか初対面が少ない人間関係ならそれでもいいのかもしれないが

*6:イコール恋人を呼んで自宅でセクロスもできない